皆さん、こんにちは。
ただの桑田ファンが曲についてただ喋る回です。
今回は桑田佳祐の「声に出して歌いたい日本文学」という曲についてです。
桑田佳祐の12枚目のシングル「君にサヨナラを」のカップリング曲です。
「I love you -now & forever-」というアルバムに収録されています。
まずは曲情報。
曲名:声に出して歌いたい日本文学
作詞:中原中也/高村光太郎/太宰治/与謝野晶子/芥川龍之介/小林多喜二/樋口一葉/石川啄木/夏目漱石/宮沢賢治
作曲:桑田佳祐
収録アルバム:2012.7.18発売のベストアルバム「I love you -now & forever-」に収録
日本の有名な文学作品に曲を付けるという新たな試み
やはりこの曲の最大の特徴といえば、
名だたる日本の文豪たちの作品に桑田氏が曲をつけて
歌にしたというところでしょう。
曲中で歌われているのは10作品で、メドレー形式になってます。
曲の長さは約18分40秒くらい。
かなり長いですが、それぞれの作品ごとの曲が全く違うので、
聞いてても「この曲長いな」とかは全く感じません。
下記はこの曲の中で歌われている作品です。
- 「汚れちまつた悲しみに」(中原中也)
- 「智恵子抄」(高村光太郎)
- 「人間失格」(太宰治)
- 「みだれ髪」(与謝野晶子)
- 「蜘蛛の糸」(芥川龍之介)
- 「蟹工船」(小林多喜二)
- 「たけくらべ」(樋口一葉)
- 「一握の砂」(石川啄木)
- 「吾輩は猫である」(夏目漱石)
- 「銀河鉄道の夜」(宮沢賢治)
これらの作品一つ一つは1、2分くらいの短い曲なのですが
一曲一曲がそれぞれ、4分くらいのフルコーラスで聞きたいと思っちゃうくらい
曲が出来上がっていると言いますか、かなり完成度が高いのです。
この1曲に、ありとあらゆる”桑田節”が詰まっていると言っても過言ではありません。
要するに、この1曲を聴くだけで桑田氏の美味しいところだけをかいつまんで
聞いているような、そんな贅沢な気分になれるのです。
各パートごとの感想
どれも良曲ばかりなので、それぞれのパートごとに感想を書いてみたいと思います。
1.「汚れちまつた悲しみに」(中原中也)
ポップな感じの曲調で、最近の曲だとサザンの「ごめんよ僕が馬鹿だった」を
なんとなく彷彿とさせる曲調です。(そんなに爽やかでもないか)
ライトな感じでちょうどよく曲に入り込んでいくことができますね。
2.「智恵子抄」(高村光太郎)
2曲目のこのパートで、急に混沌とするというか、ブルースっぽい
ヘヴィーな曲調になります。耳にずっしりくる感じが心地よいです。
私好みの曲調で、お気に入りのパートです。
3.「人間失格」(太宰治)
3曲目に入ってもまだまだ混沌とした感じは続きます。
こちらはブルースというよりもロックっぽい感じです。
桑田氏がこの作品を読んだのかはわかりませんが、
この気だるさを感じさせるようなねっとりとした曲調、
人間失格の作品の世界観にぴったりだと思います。シンクロ率120%です。
4.「みだれ髪」(与謝野晶子)
この曲の中で一番大好きなパートです。曲調はバラードで、これまでの雰囲気がガラリと変わります。
作品は短歌というだけあって歌詞っぽい感じになっています。
古文とまではいかないでしょうが、古い日本語で(「~るる~かな」、みたいな)
こういう歌詞を桑田さんに歌わせたなら右に出るものは絶対にいないと思います。
「エロが過ぎる」と当時から話題になっていたらしいこの作品ですが、
桑田氏はエロの要素も残しつつ、上品で美しいメロディに乗せて見事に歌い上げていると思います。
5.「蜘蛛の糸」(芥川龍之介)
このパートでは民族というか、インドっぽい、アジアンテイスト的な、
地獄を連想させるような特徴的なメロディで、印象に残りやすいパートだと思います。
私はこの前のみだれ髪が好きなので、あ~、もっと聞きたかったなーって思いながらいつも
このパートを聞いてます。
6.「蟹工船」(小林多喜二)
またここで雰囲気がガラッと変わります。
全体的にはのんびりした穏やかな感じの曲です。
このパートだけで曲が2、3つくらい入っているような感じなのですが、
不思議とまとまりがあります。
7.「たけくらべ」(樋口一葉)
なんとなく、ここのパートの歌い方が「忌野清志郎っぽいな」と思って聞いていたら、
Wikipediaにも同じようなことが書いてありました。
どうやら、「やっているうちに、そうなってしまった」らしいです。
最初に聞いていた時は、歌詞にものすごく共感していたのを覚えています。
あ~嫌嫌、大人になるは嫌なこと~なんてね。
最後の方は英語っぽい歌い方をしているので、
何て言っているのかは聞き取れません。
8.「一握の砂」(石川啄木)
このパートの前に再度「汚れちまつた悲しみに」が入ります。
なんとなく、閉店10分前になるお店の中で「蛍の光」を聴いているような感覚で、
「あ、そろそろこの曲終わるのかな」なんて気分にさせられます。
そんなところにこの「一握の砂」の爽やかなカントリー調の音楽が聞こえてきて、
ちょっとテンションが上がるのです。
働く男性の、日常的に起こりうる憂鬱な気分を書いたような歌詞で
それが優しく明るいメロディに乗せて歌われています。
聞いててとても心地よく、かなり好きな曲です。
9.「吾輩は猫である」(夏目漱石)
ここにきてゴリゴリのハードロックです。
終盤に差し掛かっているというのに、もっと欲しくなります。
合間合間で「ニャーン!」とか「ミャォオー—ン!」とか猫の鳴き声が入っていて
遊び心が感じられる楽しい一面もあります。
桑田佳祐はロックなしでは語れませんし、
もはやこのパートを聞かずしてこの「声に出したい~」は終われません。
10.「銀河鉄道の夜」(宮沢賢治)
賛否両論あると思いますが、私はこのパートはこの曲を締めるのには必要なところなんだろうなと思うことにしています。
あるいは、オマケのようなものだと思うときもあります。
このパートが始まる前にこれまで歌ってきた作品の音読の声が入るのですが、
ここまで歌ってきたものをただ「歌」で終わらせないとする意志みたいなのを勝手に感じております。
「あくまでもこれらは文学作品なんだ」とここら辺ではっとさせられたりされなかったり。
銀河鉄道の夜もメロディがつかず音読で終わるので最初は少し驚きましたが、
「吾輩は猫である」で曲としては燃え尽きる、てな感じでちょうどよいと思います。
今となっては、音読よりも気になるのがその歌詞です。
日本文学という割に日本語がすごくおかしいような気がしてなりません。
気になる方はぜひ、聞いてみてください。
ここからは余談ですが、ぶっちゃけ私は教養とかあまりないタイプなので
タイトルすら聞いたこともない作品が4つくらいありました。
それ以外は作品のタイトルは知ってましたが読んだことはありませんでした。
蜘蛛の糸は中学生の時に国語の教科書に載っていたなーっていうのを覚えているくらい。
この曲に出会って聞きまくっているうちに作品自体にも興味が出てきて、
ちょうどその頃Kindleを買ってもらった時期で、試しに「人間失格」と「吾輩は猫である」を
読んでみました。
「人間失格」は結構面白かったです。途中でかなり読むのが苦痛になった時がありましたが、
それから最後に近づくにつれて面白くなっていって、結果、最後の最後で一番の盛り上がりを見せて終わりました。(私はそう感じました)
我慢して最後まで読んでよかったです。
「吾輩は猫である」も結構面白かったです。ただ、私はこの作品はKindleじゃないと読めません。
なぜなら、難しい単語がうじゃうじゃ使われているからです。難しいのレベルが違います。
Kindleなら、知らない単語を長押しかタップするとその単語の辞書が見れるのです。
おそらく、この作品を読み終えるまでに80回くらいは辞書機能を使ったと思います。
Kindleがあったから、私はこれを全て読み終えることができました。
作品の感想としては、落語みたいで面白かったです。
落語を聞いたことはあまりありませんが、とにかく落語のような感じでした。
もともと「吾輩は猫である」は、雑誌の連載作品だったようで
かなり面白い回とまぁまぁな回があったと思います。
面白い話を読んだときは声を出して笑い転げてしまったこともありました。
終わり方はあまり好きじゃありませんでした。
しかし、日本人に生まれたからにはこの作品を読まずしてどうするといったところがあると思うので
最後まで読めてよかったです。
暇があればそのほかの作品も読んでみたいと思います。
それでは。
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